原一探偵事務所で聞いた調査員(探偵)の資質・育成法・実例

ハライチの探偵3人インタビュー

探偵のイメージ

原一探偵事務所の探偵はどんな訓練を受けたどんな人たちなのか?

 

インタビューを受けて下さった3人のお話を紹介します。

 

依頼先を決めるに当たり、探偵の実像を確かめたい人にも、探偵志望の人にも興味深い内容のはずです。

 

 

ベテラン2+上級幹部との対談

Q. 探偵のスキルとはどのようなものか?

 

探偵W氏(調査部): 探偵の技術の真骨頂は、尾行です。

 

張り込みに始まり、尾行を覚えて、撮影技術なども身に着けていく。

 

でも、尾行が一番難しく、奥が深い。

 

撮影も難しいですが、尾行ができなければ、撮影はできませんよね?

 

すべての技術の中で一番重要で中核を占めるのが尾行技術なんです。

 

例えば、相手が急にUターンした場合、どうするか?

 

これは初歩の初歩的な例ですが、尾行のターゲットはさまざまなイレギュラーな行動を取ります。

 

その時、失尾(見失う)せず、相手に気づかれずに追尾を続けられる行動を選択できるかが大切です。

 

それには事前の予測も大切です。

 

尾行を始めて5分10分の間に対象の行動をよく観察し、クセを見抜きます。

 

例えば、鏡やガラスなど自分の姿が映るものがあると必ず見る、とかいったクセを早期に把握してしまうことが、次の行動の予測に役立ちます。

 

対象者が急に立ち止ったとします。

 

タクシーをつかまえる兆候なので、無線で連絡して待機させていた車両を出します。

 

実際にタクシーに乗り込まれてから連絡していたのでは遅いのです。

 

探偵F氏(指令部): 今の最後の例でわかるように尾行はチームプレーなんです。

 

個人個人のスキルは大前提としたうえで、いかに最小のコミュニケーションで、スムーズな連携プレーができるか?

 

ハライチの探偵はこの点を徹底訓練されています。

 

いつ、どのチーム、どの支社から応援に加わっても、即座に滑らかな連携が取れるよう、訓練されています。

 

Q. 文楽で1体の人形を操る3人の人形遣いのようですね。

 

探偵F氏(指令部): おおげさにいえば、そんなところです。(笑)

 

Q. そういう訓練は、社内で?それとも探偵学校とかがあるのですか?

 

探偵W氏(調査部): 全部、社内訓練です。ハライチは探偵学校はやっていない。

 

上級幹部Y氏: 私は業界外から経営管理セクションに入ってきた人間です。

 

探偵社はハライチしか知らないので、ここで当たり前のことが他社ではそうではないと知って驚くことがよくあります。

 

一度「ハライチさんは探偵学校をやらないで、どうやって稼いでるんですか?」と聞かれて耳を疑いました。

 

Q. 調査実務ではなく、探偵学校で経営が成り立っている探偵社がたくさんあるということですね?

 

上級幹部Y氏: そのようです。

 

うちは収益源は探偵の本業、つまり調査実務のみです。 

 

Q. 探偵学校で勉強しても役に立たない?

 

探偵W氏(調査部): 全部が全部そうかどうか知りませんが、高額な授業料を取って内容がお粗末なところが多いですね。

 

探偵業法とかを講義した後に、尾行の「さわり」をちょっと、とか。

 

そんなんじゃ実戦に出たら、即死ですよ(笑)

 

独立開業なんかできませんし、したってまともな調査はできません。

 

本物を見たければ、うちは探偵の公開体験もやってるので来てください。

 

これについては社内でも「そんな企業秘密を公開してどうするのか?!」という反対意見も強かった。

 

でも、ちょっと見たくらいで真似できるもんじゃないんです。

 

Q. スキルに自信があるんですね。他社にできない仕事というのはありますか?

 

探偵F氏(指令部): お金を持っていて、新幹線や飛行機をどんどん乗り継いで愛人に会いに行くような人がいます。

 

個人事務所では難しいでしょうね。

 

いっしょに新幹線に乗って追跡するところまではするでしょうが、駅に女が車で迎えにきていたら、そこで失尾です。

 

うちなら、尾行員が追尾を継続するとともに、候補の駅に現地調査員を向かわせます。

 

さすがに海外にいきなり飛ばれた時は、依頼者の要望がない限りは追いません。

 

でも国内なら、そんな手段を使われても、うちは失尾しないんです。

 

Q. 他にハライチ探偵の特徴は?

 

探偵F氏(指令部): 一ついえるのがキャリアが長い人が多いということです。

 

キャリア10~15年クラスのベテランが1/3以上を占めます。

 

他社は一般に入れ替わりが激しい。

 

所長(経営者)はベテランでも部下はキャリアが浅いところが大半です。

 

それは、苦労が割に合わないから、どんどんやめていくんです。

 

探偵W氏(調査部): 他社では、キャリア2年目はもうベテラン、ということでチームの指揮を取らせることも多いようですが、ハライチでは考えらません。

 

Q. なぜ、ハライチは探偵がやめないのか?

 

探偵F氏(指令部): 会社が探偵スキルを磨くことに専念できる環境を提供してくれるからです。

 

待遇、福利厚生、社会保険、会社の車両の貸与、などの策で、安心して調査技術の研鑽に専念できる環境を作っている。

 

他社は、例えば車は持ち込みで、事故を起こすとしっぽ切りという場合も多い。

 

そんなんじゃ続けられないし、調査の質だって悪くなります。

 

探偵F氏(指令部): うちの社長はいつも人材が一番大切と言っている。

 

そして「お客様のため」ということをいつも言っている。

 

必要な装備について現場の要望があったら高くても買ってくれます。

 

だから、探偵は余計な心配をせずに、依頼者が満足するような証拠を取ってくることに専念できるんです。

 

Q. ハライチは社員を大切にしている会社なのですね?

 

探偵F氏(指令部): ええ。でもぬるま湯ということではありません。

 

スキルが伸びない人は居づらい雰囲気があります。

 

努力は大前提ですが、努力したからといって誰でもできるようになる仕事ではないです。

 

本当に向いていて、この仕事が好きな人だけが残って、技術を極めていくんです。

 

Q. 探偵に向いているのはどんな人ですか?

 

探偵W氏(調査部):  まず、第一印象が薄く、目立たない人です。

 

背がすごく高いとか、逆にすごく小さいとか、すごく美人だとかはマイナス。

 

一度見たら忘れられないような個性がある人は、この仕事には向かないのです。

 

そして、大胆かつ臆病であること。

 

探偵はすごく度胸がいる仕事です。

 

対象者のすぐそばまで行って隠し撮りしたりする時、ちょっとでもおどおどしたらバレてしまいます。

 

しかも、尾行中は予想外の事態が次々に起きます。

 

そんな時も冷静に最適の行動を選択し、自分に疑いをみじんも抱くことなく、任務を完遂しなければなりません。

 

でも勇気があるだけでもダメなんです。

 

人一番臆病で、心配性でないといけない。

 

こういう事態がおきるかもしれない、もしこうなったらどうしよう?と、あらゆる場合を事前に考え抜いているからこそ、本番で最適な行動を選択できるのです。

 

Q. 大変な仕事ですね?確かに誰でもできるものではなさそうだ。

 

探偵W氏(調査部):  あと、忍耐力と体力も必要です。

 

真冬や真夏の野外で5時間張り込んだ後に、突然全力ダッシュという場面もありますから。(笑)

 


ハライチ探偵の肖像1 W氏

探偵Wの写真

探偵は顔が知られていると業務に支障が出るのでモザイク加工してあります。

 

W氏と初めて大阪で会った時の第一印象は、「温厚そうな普通の人」で意外でした。

 

探偵ドラマのやさぐれた主人公のようではなくとも、それなりにクセの強い人間を予想していましたから。

 

しかし、現場事情のインタビューや参加させていただいた車両尾行訓練では別人でした。

 

W氏は、並外れた瞬時の判断力、集中力、体力、運転技術を兼ね備えたタフな尾行職人です。


ハライチ探偵の肖像2 M氏

探偵Mの写真

探偵は顔が知られていると業務に支障が出るのでモザイク加工してあります。

 

私たちは、「探偵」というと松田優作が演じた工藤俊作のような人をイメージしがちですが、現実は違います。

 

どちらかというと地味な人が多いのです。

 

特徴のある人は張り込みで目立ち、何かと覚えられやすく、不利な仕事だからです。

 

しかし、このM氏は例外で、ハードボイルドな雰囲気にあふれた長身・痩躯の探偵さんです。

 

特別機動追跡班という組織に属し、若手の訓練では鬼教官と恐れられている人です。


ハライチ探偵の肖像3 F氏

探偵Fの写真

探偵は顔が知られていると業務に支障が出るのでモザイク加工してあります。

 

F氏は物腰が柔らかな知性派の探偵さん。

 

インタビューでは何を聞いても、明晰に系統立てて答えてくださいました。

 

「指令部」に所属し、複数の調査チームに指示を出す司令塔のような仕事をしておられます。